お待たせしました!!
坂本文郎氏による2024年度吹奏楽コンクール課題曲の楽曲分析です。
指揮者の目線から楽曲分析を行なっています。
日々の練習に参考にされてください。
※全体的な特徴と留意点
① メロディや対旋律はユニゾンが多いため音程に注意したい。また2声、3声と広がるのでその広がりをどのように聴かせるかがポイントとなる。
② 和声を担当するTrbとHrnの和声感を感じさせるバランスが必要になる。
③ 全員による休符、またはPerc だけのソロになる部分が多い。停滞を感じさせないようにするには、テンポ感だけでなく流れを感じさせる音量も重要な要素になる。
④ 全体的に4小節または8小節に動機が設定されている。各動機の始まりと終わりの処理、次の動機への繋ぎ目の処理を丁寧に行いたい。
⑤ EsClは音域が高すぎるケースがあるためバランスに注意したい。
- 冒頭~Aまで
・冒頭から8小節間の練習方法
①メロディ1(Trpのユニゾン)とメロディ2(Hrn、Euph)のバランスを取る
②バスパート(Tuba)と和声パート(Trb.)の音量がメロディ1、メロディ2に対して適切か、またハーモニーが膨らみを感じさせているかを確認
③最後にPercを加えて、和声感を殺さないバランスを確認
・次の9小節目から8小節間は冒頭を楽器を変えただけですが、追いかけるメロディ2の音量が弱くないか検証してください
・13小節アウフタクトのメロディ1はユニゾンで、直後に3声に分かれますのでメロディの和声感を演出し広がりを持たせたいですね。
※Cl.3とTrp.3の一番下の声部は音が低く人数が少ないので注意しましょう。
・15〜16小節のcresc.の練習方法
①3拍伸ばすメロディ1は16小節の2拍目で音が変化するタイミングでcresc.をする。
②4分音符で動く順次進行しているパートは1拍単位でcresc.する。
③Perc.も4分音符の動きに連動してcresc.する。
・17小節目は音の終わらせ方が課題です。
①4分音符で終わるグループと2分音符で終わるグループで確認。
②17~20小節は一連の動きが滞りないように、4小節だけの流れの練習。
③Trbとバスパートによる和声はEs音がかなり多いので、Trb1&2とのバランスに注意。
- A〜B
・注意する点としてはメロディ、低音、トロンボーン(ハーモニー)、パーカッションのバランスでしょうか?
特に注意して欲しい点を挙げます。
①メロディラインのCl、Saxは音程が取りにくい音が出てくるので注意
②2小節目、10小節目の2拍目頭は(一瞬)S.Drのソロになりますので、アクセントを大切に
③5、6小節目、7、8小節目のTrbの和声の違いは明確に表現しましょう。
④13、14小節は7&8とよく似ていますが、14小節のバスが2分音符になることと、Trb2の2拍目がAs⇒Bに変わっている点には注目しましょう。
⑤16小節2拍目はシンバルのソロですが、他の楽器の音が残らないように気を付けてください。
- B~C
・ユニゾンが突然3声になりますので音楽の広がりを感じさせたいところです。
注意したい点は
①メロディラインは和声が広がっていきますが、各声部の人数は減りますのでバランスを確認
②対旋律のCl.3,T.Sax,Euphはユニゾンに対して、ホルン、低音のハーモニーのバランスが弱くないか確認
・46小節目(Bの10~12小節)について
今までのような素直な和声進行でないため上手く響きを出せない楽団も多いと思います。
各小節の2拍目は5声部で進行していますので「主役」と「脇役」に分けます。
「主役」:10小節2拍目でH・D・FisというBmの和音を奏しているパート
※このパートの2拍目はAm⇒Gmと進行していきますので、このパートのみで美しい和声を作ってください。
「脇役」:C&E⇒B&D⇒As&Cと進行していくパート
※C⇒B⇒Asと進行するパートは1拍目も考えに入れると半音で進行しますので大きめに吹き、E⇒D⇒Cと進行するパートは高い音をあまり目立たせないように吹くと響きが安定します。
・49小節目(Bの13~16小節)は4声になり、特に14小節1拍目はC音とDes音がぶつかりますので丁寧に響きを作ってください。
・17小節はSDのソロに2拍目でTimpが加わります。今までのPercに比べ時間が長いので特に音量の調整は必要です。おそらくdim気味に16小節は終わると思いますが、17小節まで絶対に音が残らないようにし、静かなイメージで終わった空気を壊すようにS.Drは強めに入ったらいいのではないかと考えます。
- C~D
・最初の8小節のメロディラインと対旋律の高音楽器のグループのバランスが重要です。
※Fl,Picc,Ob,Cl1,Glockは高音部でユニゾンで人数も多いと思いますのでバランスに注意してください。
・9~12小節はAlto Clがない楽団は、この部分からDの4小節目までClでフォローするとバランスが良いと思います。
・12小節間Percは今までよりもやや控えめにした方が良いでしょう。
- D~E
・この部分で一番注意したい点は66小節目のCl.1です。
Cl.1の「As⇒As⇒G⇒Es⇒G」の音は他のパートにはなく、Cl.1しかありません。(「C⇒C⇒B⇒As⇒B」のパートは多数あり)
バランスも含めて注意が必要と思います!
さらにスキルアップしたい奏者のみなさんへ
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