お待たせしました。
坂本文郎氏による2022年度吹奏楽コンクール課題曲.ジェネシス|第2回楽曲分析・解説です。
・冒頭はF音とシンバルしかありません。後に和声が複雑になることを考えるとここのピッチは何としてもそろえる必要があります。
シンバルのクラッシュ音で誤魔化すような演奏は避けた方が良いでしょう。というわけでシンバルの音量は始まりのF音がはっきり聴こえることを前提にしてください。
・1小節目3拍目と2小節目1&2拍目のTrp1のC音→D音は一人だけです。奏者の音量によっては補強した方が良いかもしれません。
・2小節目3拍目はF音とA音のバランスが難しいと思われます。特にHrn1&2は強調して和声感を作りましょう。またS.Dr.は木管群のメロディの上行形に添う形でcrescがあります。木管の邪魔にならないよう、しかし入りのmfは存在感を示す必要があると思います。
・3小節目はメロディラインの動きに注目してください。Cl3やASax2の動きは3度上のパートに比べてかなり少ないと言えます。調整が必要でしょう。1拍目のASax2のAs音は瞬間的に一人だけになります。また3,4拍目のTrp1の音は1パートであると同時にスラーの奏法ですので響きが得にくいと考えた方が良いと思います。
・4小節目は1~3拍目のGm+Fコード(6音)⇒4拍目のGm+Cコード(6音)と大変複雑です。それぞれの和音を二つに分けて、丁寧に合わせてください。
・上記の複雑な和音の後に5小節目の頭は再びF音のみになります。このFを美しく聴かせることが重要です。今度は4小節目からcrescで入ってくるPercが増強されていますので最新の注意でcrescを演奏してください。
・5小節目の注意は1小節目とほぼ同じです。6小節目冒頭はF音とGes 音をぶつける時に躊躇しないでください。その後3拍目の和音に進行します。3拍目は3音のみの和音ですので響きを美しく作る練習をしてください。
・7小節目はfで演奏している木管群+Trpがほぼユニゾンで強くなり過ぎていないかしっかり判断してください。4分音符で和声を作る楽器や、pからcrescを表現するPercとのバランスに注意してください。
・8小節目の重要ポイントは複雑な和音の後にEsとBの2音だけになる点です。ピッチとバランスに気を付けてください。それを受けてのPercの表現になります。しっかりディナーミクを表現して練習番号Aに繋げましょう。
注釈
複雑な和音の狭間に時折構成音が3つ以下の響きの良い和音が出てきます。
出てくる都度、丁寧に響きを整えることがこの曲を演奏する時のコツと言っても過言ではないように思います。
(*小節数は練習番号Aからになります。)
・まずは和音の動きから…2小節目の前半までは比較的素直な和音が並んでいます。ここは響きの良いバンドであることをアピールするポイントです。
しかし1小節目2拍目のG音と2小節目1拍目のC音は、和声の第3音であるにもかかわらず上下に広がっていますのでバランスの調整が難しくなると思われます。
・その後は複雑な和音が連続します。その中で4小節目1拍目はB音のみで4拍目はB♭のコードに、8小節目1拍目はEs音のみになります。わずかな時間ですが、ここでクリアな音色を作るのが大切です。
・和音の動き以外でこの部分の大切な点があります。それは細かい音についたアクセントです。拍の裏がかなりの部分で16分音符にアクセントが付いた形になっていることに注目し、しっかりリズム感が作れるようにしましょう。
・1小節目4拍目頭のA音は非和声音ですが思い切って当ててください。5小節目4拍目にも似たようなA音がありますが、こちらはピッチが低めにならないよう気を付けてください。その次の小節3拍目にも再びA音が出てきます。この音は埋もれてしまわないように気を付けてください。
・同じようなリズムの動きになっている楽器に注意してください。(例えばFl・Ob・Cl等)
ユニゾンだったかと思うと2つに分かれていたりします。こういうケースは、分割した時の上下のバランス、ユニゾンの時との音量差に気を付けてください。分かれた時は少し強めに音を響かせると流れが良くなり、全体的におとなしくなりすぎる印象も払拭できます。
・7小節目は練習番号Bを暗示するようなリズムになっています。16分音符の部分とそうでない部分は和声が変わります。変化が聞き取れるように工夫してください。特に4拍目の低音のB音は大切だと思います。
※このような和音の動きについては合奏練習で解決することも可能です!
さらにスキルアップしたい奏者のみなさんへ
坂本文郎氏の分析を基にした合奏指導に興味をお持ちの方、複数の学校(団体)と一緒に合奏指導や分析、指揮法についてもご相談に応じます。
- 課題曲分析についてもっと詳細を聞きたい!
- 坂本氏より直接合奏レッスンを受けたい!
- 坂本氏の楽曲分析の講座を開いて欲しい!
お電話またはフォームより、お気軽にご相談・お問い合わせください!