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坂本文郎氏による2022年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ.:やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための~の楽曲分析です。
完全4度が重なる日本的な響きから変わっていますので、慎重に響きを作ってください。
52~63小節
・52小節はClのG音だけが残ります。前述したようにdecrescの形も続けたいので、少しアクセントを入れるような方法もあるかと思います。53小節目ではAs音ともぶつかるので52小節の間にdecrescを聴かせる方が良いのではないかと思っています。
・メロディの流れはA.Sax.1・Hrn.➡Fl.・Ob.を繰り返し、その後T.Sax・Cl.2&3・Hrn.に動きます。57小節目までメロディの動きはユニゾンですので、音程に細心の注意を払ったうえで他パートを上回るバランスと特に最終のパートは強弱の表現を見せられるかどうかがポイントです。
・53小節はA♭コードと55小節はFm₇の素直な和音になります。日本的な響きから変化した点がポイントです。55小節はEs音がBsn.とA.Clだけですので、奏者がいない場合は代替えを考えてください。
・58・59小節はメロディの流れに和声的な動きが絡まります。その変化をしっかり聴かせる必要がありますので先ずはFl.の加入でCmコードが聴こえます。3拍目にはそれがB♭コードに変化し、4拍目にCl.1とA.Sax.2が加わって、これらのパートはA♭コードに変化していきますが、G音をcrescで増幅させているTrp.1がAs音とぶつかる表現の部分で工夫が必要です。繰り返し練習して納得のいく音を作ってください。
・60小節目、メロディはTrb.・Euph・B.Sax.に移ります。低い音での和声が特に面白い小節です。poco ritenは何故ついているのか考えたいところです。3拍目のCb.の6連符とC音から移動したH音が面白い音だと思います。Es音から移動したF音とは増4度の関係にあり、そこにメロディのB音が加わるところを表現したくなります。
・61小節と62小節の前半までのメロディはユニゾンですので今までと同じように扱って差し支えありませんが、ritになった最後の部分は5度の平行になっていますので上下が均等の音量でcrescできるよう慎重に表現してください。63小節目の最後の和声にE音が加わり西洋的なCコードになります。fで表現する瞬間はTamTamの音色をどうするのか考えたくなります。フェルマータは音が減衰して舟歌エリアをしっかり終わらせてください。
・61小節の和声はC・G・A音に1拍遅れてF音が加わります。F₉コードの響きが聴こえた後、62小節にはDes・F・As・C音のD♭maj₇の響きになり、crescの上でCコードへの解決につながります。
64~77小節
・69小節まではC・D・F・G音のユニゾンです。タイミングは勿論ですが音程は確実に揃えてください。68・69小節はその前に対してfと音の厚さを表現して欲しいです。
・70~77小節のCl.はG・A・C・Dの4度を基調にした和声です。音量を等しく響かせてください。
・Hrn.も78小節まではCl.と同じ和声です。ここは響きもですが、S.D.と共にアクセントの演出を考えましょう。
・73・77小節の低音は強弱の違いを明確に表現してください。
78~92小節
・78~90小節頭までのHrn.はメロディの間を埋めるように、それまでのG・A・C・D音の和声を演奏していきます。S.D.のアクセントと同じリズムですが、アクセントはなくなっていますので響きを作ることに重点を移してください。
・木管のメロディはC・D・G音で始まる4度平行の3声部になっています。今まで同様音量差を付けず均等なボリュームを維持してください。
・90~92小節のメロディは低音部と金管が3声を維持した形で受け継ぎます。これも3声のバランスに注意してください。
・木管のお囃子はユニゾンです。音程に気を付けたうえでffを表現してください。
・90~92小節のアクセントには特に気を付けてください。同じ位置にあるものが多いのですが、90・91小節のCymbalは位置が違いますのでアクセントのずれを表現しなければなりません。また92小節目はお囃子のパートが1拍目裏にズレます。さらにS.D.は2拍目が16分音符のアクセントになっていますので気を付けてください。
93~119小節
・93小節からスタートしているメロディは3声になっています。音量(バランス)を整えたいのですが、C音でスタートするパートは多めで、D音・G音のパートは少なめになっています。
・97小節から追いかける低音のメロディは2声です。C音スタートとG音スタートのパートを比較して音量や音色を検討してください。G音スタートが若干弱いようです。
・104小節から追いかけるTrp.のメロディはユニゾンです。できるだけクリアーに聴こえるようにしたいものです。音程には十分気を付けてください。
・Hrn.がG・A・C・D音の4度基本の和声をS.D.と同様のリズムで演奏する時の注意点は78小節〜の考え方と同じです。
・Hrn.とS.D.のリズムは107小節から一定になります。ここから始まったと考えてください。110小節にはcresc poco a pocoがあり徐々に音を広げていくきっかけになります。113小節のアウフタクトからPiccが加わってFlパートが2声になります。この変化は主張したいのでPiccの音が抜けるように調整してください。さらに114小節からTimpとSus Cymbal が加わってcrescの流れが本格化します。
120~127小節
・120小節の冒頭、Percだけのffになります。ここはその前のcrescを引き受けた状態でのffにしてください。
・1拍目のPercのffを受けて全体のffが始まります。120~125小節までの6小節間ユニゾンです。Percとのffのバランスを取ることと、Trbのpからのcresc、Trbの後1小節空けてのSDのpからのcresc、これらを埋もれさせない音量も考えなければなりません。これは127・128小節のD音の延ばしの音にも同じことが言えます。127小節からの8分音符のリズムは、頭打ちがTimp・Tuba・Cbの3パートだけです。Trp・Trb・SDの後打ちは3声に分かれていますので注意が必要です。
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