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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。
今回、行進曲が3曲ありますが、他の2曲と比較にならないほど質の高い音の整理された曲だと思います。1声・2声の部分が多く、不必要に音が並べられていないので、課題曲でなくても取り組みたいと感じさせる曲です。ただコンクールでとなると、この整理された響きが、かなりの困難を伴うでしょう。難易度がかなり高いにもかかわらず、曲の印象が地味なのが、やや選ぶのに躊躇するところでしょう。和声進行に特に注意が必要です。まずは、和声進行についての練習の方法について述べたいと思います。
それでは、部分的に解説します。
・最初の8小節は、メロディグループ(Flute,Oboe,Clarinet,A.Sax.1,Tru,mpet)には、ユニゾン、2声、3声部分が混在しています。ここは、練習①で最も良いと思われるバランスを選んでください。特に最初の音はB音のみですので、音程に十分気を付けてください。Alto Clarinetがない場合、Clarinetパートが3声から2声になってしまいます。補充が必要と思われます。
・1小節目のTromboneは少しセーブしないと2拍目のAs音とのバランスが悪くなるかもしれません。また2小節目は3声になりますので、Horn、A.Sax.2、T.Sax.共に和音の広がりの練習③をしてください。
・2小節目2拍目のシンバルは、Snare DrumとBass Drumの装飾音を消さないように注意してください。
・4小節目と8小節目2拍目は、TimpaniとSnare Drumだけのcrescになっています。この変化を際立たせる必要があるでしょう。
・9と10小節は、Snare Drumのリズムが際立つようにしましょう。
・同じ場所の他パートは全て4分音符の動きですが、低音パートの山型の順次進行が下行形の高音部の陰に隠れないように気を付けましょう。
・11小節目の冒頭は、C音しかありません。音程と1拍目裏からのシンコペーションに負けないバランス、音の長さに気を付けてください。
・12小節目は、メロディグループの2声にTrombone・Hornの3声( 特にメロディグループにない音)が負けないように気を付けましょう。またS.Cym.だけのcrescにも注意を払ってください。
・13~15小節は素直な和声進行です。練習⑤を意識してください。
・16小節目のBDは、soloですので、音質を吟味してください。
・17~20(Aの1~4)小節目と25~28(Aの9~12)小節のAlto Clarinetは必須です。Bass Clarinetとその他のClarinetパートと共に3和音を構成しているためです。
・17~20(Aの1~4)と25~28(Aの9~12)小節はメロディグループが3声、21~24(Aの5~8)と29~32(Aの13~16)小節1拍目は2声です。3声部分はB♭Clarinet全員が上の声部のため、バランスに気を付けてください。2声の部分は上下のバランスが大切です。
・19小節目(Aの3小節目)は4声になります。また、解決する20小節目(Aの4小節目)1拍目はF・Aの2音のみです。裏拍からHornとTromboneが入りますが、ここでC音が加わりますので、練習④を行ってください。Horn.1とT.Sax.のEs⇒E⇒F音の流れにも注意しましょう。
・21~23小節(Aの5~7小節)は軽快なリズム感を、それに対して24小節目(Aの8小節目)はレガートなイメージを演出してください。特にBass Drumは8分と4分音符の違いを明確に出したいものです。
・23、24小節(Aの7、8小節)も4声になっています。Horn.1がEs⇒Eの流れからEs音に戻るのが4小節目との相違です。練習④で響きを確かめましょう。
・24小節目(Aの8小節目)は、Es音がHorn.1とT.Saxのみです。バランスに気を付けましょう。
・練習番号Aの後半は、和声の流れがかなり複雑になります。減三和音を含む和音の連続です。練習④の響きの確認は、27小節目(Aの11小節目)から一つ一つしなければなりません。31小節目(Aの15小節目)でやっと解決する形ですので、十分に時間を取って練習してください。
・28小節目(Aの12小節目)2拍目から30小節目(Aの14小節目)1拍目まで、Oboe,Clarinet,Sax,はユニゾンになり、30小節目(Aの14小節目)2拍目から2声になります。練習①が必要です。
・32小節目(Aの16小節目)1拍目裏は無音です。クリアに音のない瞬間を作ってください。
・32小節目(Aの16小節目)2拍目はユニゾンです。ここでのリズムや音程の乱れは許されません。
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