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坂本文郎氏による2018年吹奏楽課題曲『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』の分析、解説です。
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【練習番号H〜I】
・Clarinet・Alto SaxophoneのメロディとTenor Saxophone・Alto Clarinet・Euphoniumの対旋律、Flute・Piccolo・E♭ Clarinetのオブリガードと3種のレガートが並行していますので、適正なバランスを作ってください。
特に4小節目はメロディにFlute・Piccolo・E♭Clarinetのパートが加わりますので気を付けてください。
・Snare Drum は練習番号Gから引き続きロールとそうでない動きが連続します。丁寧に合わせましょう。
・72小節目からのHornは3小節にわたっての5度平行が発生しています。前回同様にHorn 2の72小節目のB音と73小節目のC音は限りなく薄く演奏した方が良いでしょう。
・73小節目3拍目でC音を奏しているのはHorn 2のみです。また裏拍ではTrombone 3のF音が弱くなると思われます。バランス調整が必要です。
・74(8)小節目4拍目のHorn・Euphoniumはユニゾンですがパーカッション群の音量とのバランスに気を付けた方が良いでしょう。
【練習番号I〜J】
・Flute・Piccolo・ClarinetとXylophoneは丁寧に合わせて、縦の線に乱れがないようにしてください。
同様にOboe・Saxophone・Trumpetの動きとSnare Drumの動きも丁寧に合わせてください。
またこのパートがかなり強くなることが想定されます。Tromboneと低音のシンコペーションの和音がしっかり表現できるようにしてください。
・77小節目1、3拍目の8分音符の和音で、Tenor Saxophone・Alto Clarinet・Trombone 3のA音は全体の響きを鈍くしてしまいますので、できるだけ抑えて演奏してください。
・77小節目2拍目裏の16分音符は人数が多すぎるでしょう。スリム化をお薦めします。
・77小節目3拍目裏の4分音符は、D音が省略されておりB音が強調され過ぎると思いますので、G音やF音の補強が必要だと考えます。
また4拍目裏の8分音符は、G音を奏しているのがTenor SaxophoneとHorn 1 のみです。バランスを調整してください。
・78小節目頭の8分音符は、A音が省略されているため響きが得にくくなっています。丁寧にバランス調整してください。
・78小節目2拍目の和音は、H音とD音しかありません。等しい音量になるよう練習してください。
・79小節目はリズム系の和音に対して、メロディの動きが非和声音でぶつかります。まずは和声をしっかり整えましょう。
・80小節目3拍目のEs音は、あまり強く奏しない方が和声の解決感を得られるでしょう。
【練習番号J〜K】
・ここは、最も疑問を感じる部分です。
多数のメロディユニゾンで始まるのですが、2小節目4拍目からはメロディが2声に分かれます。しかし下にあたるパートがTrp3のみです。例えばTrpが複数いれば可能な限り3rdに人数を集めなければならないと思います。
・木管楽器、トランペットと中心としたメロディとTrb・Euphonium・Tenor Saxophone・Alto Clarinetの対旋律及び低音パートのユニゾンに対して和声を作っているのはHornのみです。しかもかなり多くの部分でHrnしか奏していない音が多数あります。どこを補強していくのが、いろいろ試した方が良いと思われます。SDとの合わせにも気をつかわなければなりませんので、ここは時間をかけて練習した方が良いと思われます。
・3小節目2拍目のメロディとTrb・Eupの16分音符は合わせるのが困難です。丁寧に練習してください。
【練習番号K〜L】
・練習番号Jから引き続き、Hornの和声部分を表現するのが困難です。時間をかけてバランス調整をしてください。Trumpet 3の補強も同様です。
・ここもFl・Piccolo・E♭ Clarinetの16分音符とXylophoneの合わせを丁寧にそろえてください。
・90小節目4拍目裏は、大半の楽器がD音です。他のG・F・B音とのバランスを調整してください。
・92、94小節目3拍目裏は、休符の間にHornの和声が聴こえる形になっています。休符の前の音の終わらせ方が雑にならないよう気を付けましょう。
【練習番号L〜最後】
・95、96小節はTrumpetとClarinetの1拍目はユニゾン、3拍目は2声になっています。SaxophoneとTromboneは3声で動くため、2拍毎に和音のバランスが変わります。響きを確認してください。
・Snare Drumのリズムが95、96小節はHornと、97、98小節目の最初の2拍はSaxophone・Trumpetと、後半の2拍はTromboneと重なっています。複雑に絡み合いますので、縦のラインに特に気を付けてください。同時にXylophoneとFlute・Piccolo・E♭ Clarinetの合わせも丁寧に行いましょう。
・97、98小節のSaxophone・Trumpet、さらに99、100小節はClarinet・Hornも加わっての音型のバランス調整は大変です。パート別にみていくとパート毎にユニゾンになったり2声体になったりしています。それぞれの部分で慎重にバランス調整を行ってください。
・100小節目のトリルのパートは終わらせ方が問題です。次に出てくる休符をしっかり表現するためには、2拍目の頭か裏を記譜上の音で終わらせるようにするのが賢明です。
・100小節目4拍目裏の8分音符はF音が強すぎると思われます。低音のC音は問題ありませんが、A音はTrumpet 3とHorn 2だけですので人数のバランスを調整した方が良いでしょう。
・101小節目1拍目の和音は、Trumpet 1・Horn 1のF音とTrumpet 2・Horn 3のD音を除くと全てB音です。やはり響きを確認してバランスの調整をした方が良いでしょう。
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