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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・リーフ」の分析、解説です。
①1,2小節目のTromboneの和音は1stのF音がトリルと被ります。2nd・3rdの音量を強めにしてください。
②冒頭のHornは、特に1小節目4拍目のCが聴こえにくくなるでしょう。
③3小節目の木管の16分音符は、最後の音だけ2分割されます。下のB音はやはり聴こえにくいと思います。そして上下のパートとも、4小節目の冒頭はアクセントをスラーの形にせずに表現するのが難しいでしょう。うまくいかなければ、3小節目を休ませるメンバーが4小節目の頭から入ってくるのも一つの方法かもしれません。
④4小節目3拍目頭でほとんどのメンバーの音が終わります。次のClarinet・Saxophoneのユニゾンと音が重ならないように気を付けましょう。
⑤練習番号Aの1,5小節目(5小節目、9小節目)や練習番号Bの1小節目(13小節目)、練習番号Fの1小節目(33小節目)には主旋律パートに装飾音があります。ユニゾンのため全員に書かれていますが、無理をする必要はありません。苦手な奏者からは装飾を省いた方が、整理された演奏になると思います。
⑥練習番号Aの4小節目(8小節目)の主旋律にスタッカートがあります。この音の後はアクセントになっています。スタッカートを休ませる奏者を作ることで、アクセントが表現しやすくなります。
⑦練習番号Aの7小節目(11小節目)のHornはClarinet・Saxophoneのcrescendoに飲み込まれないように気を付けてください。
⑧練習番号Aの8小節目(12小節目)頭の8分音符と練習番号Bのアウフタクトの間にTrumpetが入っています。Trumpetの部分は他の楽器が重なりません。クリアに分かれるよう、気を付けてください。
⑨練習番号Cの1小節前(20小節目)の2分音符と8分音符のタイは、Tromboneのリズムと同時に終わるように練習してください。その後の低音のメロディと被らないようになります。
⑩練習番号Cは全体的に低音のメロディとのバランスに気を付けてください。軽やかな和音のリズムになって、低音のメロディが力強く聴こえればいいのだと思います。
⑪練習番号Cの3小節目(23小節目)のリズムパートですが、Es音が特に薄く(OboeとClarinet.1だけ)なっています。しっかり和音を作るには、例えばClarinet.2やClarinet.3の人数を一人だけにして、残りの全員で1stを演奏するなどの方法があります。
⑫練習番号Dの1小節目(25小節目)でC音を奏しているのはHorn.3のみです。特に1拍目裏の4分音符ははっきり音を出してください。
⑬練習番号DのTromboneは弱奏ですが、しっかり和声を主張してほしいところです。
⑭練習番号Dの4小節目(28小節目)の4拍目のC音はHorn.3とTrombone.1しかいません。Trombone.1が他パートよりもcrescendoを広げるように奏すると和声がしっかり支えられるでしょう。
⑮練習番号Eの1小節目(29小節目)と2小節目(30小節目)の2拍目頭は、副旋律と頭打ちのパートしか奏していません。特に1小節目はF音しかありません。こういう一瞬にクリアなサウンドが見えてきます。
⑯練習番号Eの3小節目(31小節目)のcrescendoは主に3,4拍目で掛けてください。Hornのグリッサンドを聴いてから、思い切りcrescendoをかける意識で良いと思います。
⑰練習番号Eの4小節目(32小節目)の最後の音から主旋律は2分割になっています。ここで和音になった印象が強くなるはずです。しかし、この最後の部分でB音を奏しているのはTrombone.2だけです。2nd奏者にその点を伝えて、意識して音を出してもらうようにしましょう。
⑱Trioと練習番号Gは、特にバランスが重要です。静かなイメージをしっかり表現して、途中で現れるTromboneの和声が魅力的に響くようにしてください。特に2分音符や4分音符の動きが明確に聴こえると良いでしょう。
⑲練習番号Hの1小節前(58小節目)は、mfとmpが混在します。mpスタートのパートがcrescendoによって増強し、練習番号Hで同じくらいのバランスになると考えました。
⑳練習番号Hは全体的に分厚い構造の中で、主旋律がユニゾンから始まり8小節目(66小節目)で2声となり12小節目(70小節目)からは再びユニゾンになって増強されるようになっています。ただTromboneが後打ちで和音を作っているという構造は変わりませんので、特に12小節目(70小節目)以降、和声感が薄れないように練習してください。
㉑練習番号Jの1~2小節(79~80小節目)でHorn.1がEs⇒F⇒G音と動きます。Horn.2、
Horn.3とAlto Saxophone.2、Tenoe Saxophneは同じ動きでHorn.1のみが単独です。メロディを支える形になっていますので、メロディパートと一緒に練習する必要があると思います。
㉒練習番号Jの2小節目(80小節目)の3拍目裏からの8分音符の動きですが、B音⇒C音と動くパートがHorn.2とEuphoniumだけです。和音のバランスに気を付けましょう。
㉓練習番号Jの3小節目(81小節目)の1拍目裏のTromboneの音が抜けるようにしたいものです。そのためには、8分音符で終わるパートの音が残らないことと、トリルの音に負けない音量が必要です。
㉔練習番号Jの4小節目(82小節目)の1拍目のTrombone.2とHorn.2のA音は和声の響きを重たくするでしょう。あまりfでは吹かない方が良いと思われます。
㉕練習番号Jの4小節目(82小節目)のFlute、Piccolo、Es Clarinetのトリルは絶対に次の小節に被らないようにしてください。トリルの最後をF音にして4拍目裏くらいで終わらせるのが無難かもしれません。
㉖練習番号Jの4小節目(82小節目)の2拍目と4拍目のTrombone.1のEsと4拍目のHorn.3のC音はそうしているのがパートだけです。パート人数を超える場合は、ここに補強をするのが賢明です。
㉗練習番号Lの5小節目(99小節目)のAlto Saxophone、Trumpet、Tromboneの和声の中で、Trumpet.2とTrombone.2のC音の人数が少ないと考えられるので、バランスを重視してください。
㉘練習番号Mの1小節目(100小節目)のTrombone.1のD音と2小節目(101小節目)のTrombone.3のF音(2拍目裏まで)の音が薄いようです。できれば補強してください。
㉙練習番号Mの4小節目(103小節目)の3拍目頭は勢いで演奏してしまいがちです。この3拍目はTenor Saxophone、Trumpet.3,Trombone.3のB音からA音への移動が重要です。3拍目を揃える練習を繰り返し、この移動が明確に聴こえるかどうか確認してください。
㉚練習番号Mの5~6小節目(104~105小節目)のTrombone.2は響きを重たくします。軽く吹く程度で良いと思われます。
㉛曲のラストはB音のみです。音程重視の上で力強さを出さなければなりません。人数を絞るのも一案かと考えます。
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